人材紹介の仕事をやっていて、実に先輩方がたくさんいることに気づかされます。外資リクルーティングの世界でようやく10年になる私でも、周りを見れば15年、20年、30年やってるという先輩方ばかり。PMCにもたくさん先輩方がいらっしゃいますが、自分より上の世代、つまり50代かそれ以上の先輩方には、人事部長出身の方が多く、人事部長の感覚、人事の仕事をよくわかっていらっしゃる方々ばかりです。
一方、私は元商社マン。ようは営業です。私より世代が若い層で人材紹介をやっている人には、営業出身者が多いように思います。このため、先輩方の世代と、私の世代かそれより若い世代の間には、どうも人材紹介のとらえ方に、大きな隔たりがあるようです。
時代背景も違うでしょうし、そもそも世代間ギャップもあります。企業の採用ニーズも変わってきていますし、インターネットの発展により、求人ポータルやSNSをはじめ、サーチのやり方一つとっても、2000年以前と以後では、人材紹介の仕事のやり方は全く変わりました。
私は人材紹介の仕事をやっていて、本当に自由な仕事だと感じるときがあります。働く企業や求人案件を自分で選び、お付き合いするクライアント、つまり社長さんや人事部長さんのことも、おこがましい言い方をすれば自分で選び、そして複数の企業と同時並行でお付き合いしていくわけです。
成功報酬という契約形態に不安を感じる方も多いようですが、これも自由さを象徴するビジネスモデルとも言えるわけです。確かに採用が決まるまでは、自分の働いたサービスに対する対価を払ってもらえませんが、目の前のお客さんとは限らず、自分がお付き合いして注力しているいくつかのお客さんの中から、必ず結果が出る場合が生まれてきます。その時に支払ってもらえるフィーが、自分のそれまでのすべてのサービスに価値をもたらせてくれるだけのリターンがあるわけですから、決してタダ働きや無駄なことをしているわけではないのです。
人材コンサルタントをやっていると、この仕事をあまり好きではないと思っている方にたくさん遭遇します。残念なことですが、人材コンサルタントが一番偏見や誤解にさらされる相手が、実はお客さんでもあり、仕事のパートナーである人事部長だという意見を多く聞きます。人材コンサルタントは頼りにならない、信用ならない、力不足だ等、いろいろと嫌われる理由はあるようですが、簡単にいえば、人の転職をネタに食っているのが気に入らないという意見が一番多いように私は思います。
もちろんこれは人事部長に限った話ではなく、一般の転職希望者の方々と接していても、人材コンサルタントを快く思っていらっしゃらない方が多いことに驚かされます。人をモノ扱いし、丁寧なコンサルティングや誠意あるコミュニケーションをとらない人材コンサルタントは最低だと思いますが、まるで外人ならだれでも嫌いという視野の狭い日本人がいるように、人材コンサルタントを嫌い、常に彼らを警戒しているのでは、今のような雇用が不安定で、かつ企業が採用の失敗、経営や商売の失敗を棚に上げて社員の早期退職やリストラを進める時代に、個人がサバイバルしていくことは難しいのではないかと思うことがあります。
今、どんな立派な職にあり、破格の給料をもらっていても、半年先、もしくは3年先に、今と同じ状況でいれる人はほとんどいないというのは、この過去3年間を振り返っても、だいたい誰もが実感していることではないでしょうか。
人材コンサルタントには様々なサービスの限界があります。採用とは、とても難しいものです。そして企業も、どんなに慎重な採用を繰り返しても、人の問題はほとんど当初計画した通りにはことが進まず、何度も何度も新しい採用を繰り返しています。個人にとっての転職も同じことでしょう。結局、転職をする人は転職を繰り返すのです。
人材コンサルタントは、人事部長や一般の転職希望者の方々にもっと信頼してもらえるように力をつけなければなりません。そして人事部長や一般の転職希望者の方々も、人材コンサルタントを毛嫌いせず、うまく彼らと付き合い、彼らに協力して、今の時代を一緒に乗り越えていってほしいと思うのです。
50代の方々の突然の失業、そして長期にわたる再就職活動の実情を見ていると、今の40代も、もしくはそれより若い方々も、今の世相を甘く見るのではなく、自分なりに生きていくための備えを持っていくことが大切なのでしょう。私自身も、これからは個人事務所を運営して生きていく道を歩み始めたわけですから、長いスパンで地に足をつけて生きていけるような、そんな仕事を積み重ねていきたいと思っています。
最近、20年、30年と人材紹介をやっているというベテランの方にお会いしすることがあって、ふといろいろと思いが駆け巡りました。
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