ビズリーチの転活塾にて講演した議事録をご紹介します。(提供:CAREERzine)
世の中には、役に立つ転職エージェントもいれば、役に立たない転職エージェントがいます。皆さんの中には、運悪く後者にあたり、本来得られるはずのサービスの 1割か2割程度しかメリットを得られていない方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。それは非常に残念なことですが、そうしたことが起きてしまう背景についてご説明したいと思います。
まず経験の浅い転職エージェントは、求人企業側に軸足を置いて活動し、結果として求職者に対してサービスが悪くなる傾向があります。そんな彼らの多くも、実際は企業の人事担当者との関係がうまく築けていないことも多いのです。たとえば、求人票に記載されていること以上の情報を引き出せなかったり、最終局面で条件面について求職者の方に有利な交渉ができなかったりします。転職エージェントの中には書類選考の進捗についてすら、まともに求人企業に尋ねることができない人もいるくらいです。
本来転職エージェントにとって、求人企業と転職活動をする方の双方が重要なクライアントです。そしてサービスには、両者の間にあるギャップを埋め、よりよいマッチングを実現することが期待されています。しかしどちらかのいいなりになり、うまくバランスをとって双方の利害調整を有効にできなくなったことによって、コンサルタントとしての仕事ができていない転職エージェントが数多くいるのが現状です。
現在、ほとんどの転職エージェントたちが「成約した人の年収の○○%」(通常は30%)という成果報酬型の契約を結んで仕事をしています。よって効率とボリュームをこなすことを目標にする人が出てくるわけです。とくに、若い年齢層の現場で働く人材をターゲットにした採用活動の場合、その傾向は顕著になります。
また、転職エージェントは大きく2つのタイプに分類できます。まずは、50代以上のベテランで、元人事部長など、人事ビジネスにかかわって20年以上のキャリアを持つ人たち。もう一方は、40歳くらいまでで、営業の仕事から転職エージェントに転向した人たち。バックグラウンドが違いますから、人材紹介という仕事に対する意識の持ち方も異なるわけです。
転職エージェントは、1ヵ月に1~2人の転職が決められれば各社でも上位の評価を受けるでしょう。人事と信頼関係を築けている企業が、1ヵ月あたり5社あれば月に1~2件は決めることができるのではないでしょうか。それにもかかわらず、『うちには膨大な数の求人案件がある』と胸を張る人材紹介会社もありますが、その案件数を何人の転職エージェントで担当しているのか、また、どの程度コミットしている企業からきた案件なのか、そこまで注意して見る必要があるでしょう。
どんなに優秀な人であっても、転職活動をする際は、1人の転職活動者として、転職エージェントとうまくお付き合いしていただければと思います。
デキる転職エージェントであれば、お会いする前からメールで求人案件について詳しく情報を伝え、さらに案件に合わせて、「職務経歴書の書き直し」について、具体的にディレクションを出すものです。もし皆さんが遭遇した転職エージェントが、そうしたアドバイスをしてくれないとしたら、それは転職エージェントが力不足であるか、もしくはサボっていると判断していいでしょう。
これらは本来であれば、案件を紹介する際に、転職エージェントから説明するべきことです。ただし、情報収集は採用プロセスが進む過程で増えていくものでもありますから、転職活動中の方は、力不足の転職エージェントをすぐに見切りをつけないほうが得策です。確かに経験不足の転職エージェントは少なくないのですが、皆さんがうまく転職エージェントを動かして、自分にとって有益な情報を集めることも、現実問題として必要なのです。
そして、いくら優秀な人材でも、待っているだけではだめです。自ら動き、積極的に転職エージェントとコミュニケーションを深めることをお勧めします。(完)
![]()
転職活動をしていく中で、最近の市場の動向や、自分に対する他者評価などの情報が蓄積していきます。求人案件の募集背景や、募集要件などからも、最近の傾向と対策を分析することは可能ですが、多くの転職活動中の方は、転職活動の活動やコミュニケーションの履歴を記録していないため情報が蓄積されず、数が増えるとともに忘れてしまい、あとから見返すことで同じ失敗を繰り返さないための対策や、新しい戦略を立てることができずにいます。
またエージェントと面談をした時に話した内容や、何を質問されたか、自分の何が評価されたか(されなかったか)、またエージェントの得意分野(苦手分野)、エージェントに対する自己評価、紹介案件、進捗状況などをしっかりと記録に残し、エージェントとの関係を深め、彼らとうまく付き合い、彼らを動かすための戦略を練る必要があります。
求人案件に応募するときに、過去の成功例、失敗例を参考に、自分自身のアピールポイントを組み立てることが有効です。とくに最近は採用に時間がかかっている求人案件が増えていますから、なぜ今まで採用に至っていないのか、過去に応募した人はなぜうまくいかなかったのか、どうしたら自分は同じ失敗を繰り返さなくて済むかについて、応募する前に戦略を立てることが大切です。
相手がどのような人物かを想定して、対策を事前に取ることはとても有効です。つまり、面接官に関するできる限りの情報を事前に入手したいものです。エージェントと求人企業の関係が親密であれば、かなりの事前情報が入手できる場合もあります。面接においても同じであり、毎回面接のステージが変わることによって面接官も変わるため、面倒でも面接のたびに相手の情報を入手できるよう、エージェントは日ごろから情報収集に努める必要があります。またその求人のポジションが前任者の退職に伴う補充案件であれば、前任者がどのような経歴を持ち、どのようなタイプの人物であったかを知ることも、とても参考になります。
採用のプロセスにおいて、職務経歴書はいろいろな人の手に渡り、検討されます。それは主に面接のステージが進むごとに相手の人数が増えていくわけですが、相手によっては、すでに提出済みの職務経歴書でも、内容を微調整したうえで、差し替えのお願いをしてもいいでしょう。また異なる応募企業には、その案件の募集背景や要件が異なることから、基本的に職務経歴書は毎回一部を書き直すもの思っておくことをお勧めします。(面倒に思い、横着しては損をします。)
ぶっつけ本番で最高のパフォーマンスを出せる人は少ないものです。どんなにベテランで、かつ優秀で自分に自信がある人でも、自分が期待するようには、必ずしも相手は評価してくれないものです。模擬面接を事前に行うことにより、事前に当日の面接のイメージを具体的に持つことができます。思いのほか、自分の話が長くまとまりがないものになってしまったり、相手からの質問のポイントが、必ずしも自分がアピールしたいことでなかったりなど、想定外の出来事が起きるのが面接です。自信がない人はもとより、面接に自信がある人でも事前に準備をしていくことで、さらに当日のパフォーマンスが上がります。自分の言動を客観視し、事前に特徴を知ることで、自分では気づかない癖や、相手を不快にしてしまっている自分の言動に気づくことがあります。
自己アピールが強い人弱い人がいますが、どちらにとっても気をつけるべきポイントは、相手が聞きたいと思っていることに絞ってしっかりとアピールをすること。自己アピールが強い人、自分に自信がある人にありがちな失敗は、相手が必ずしも関心がないポイントに対していたずらにアピールを繰り返し、それが相手に悪い印象を与えていることです。
誰しも聞かれたくない質問、もしくは答え方が難しい質問があります。(たとえば未経験分野、過去の転職理由等。) 話が長くなり的が絞られた話でない場合、他者はついていけなくなり、結果として評価が下がることがあります。最初から想定される難しい質問などには、答えそのものや答える順番、また解説するための具体例も準備して決めておくのがよいでしょう。
第一印象がいいか悪いか、プラス100点でスタートを切るか、マイナス100点からとなるか、そこが大きなわかれ道です。見た目が大切なことも言うまでもなく、顔色や雰囲気、その人の身だしなみや目の輝き、体の動き方などから、相手に対して健康状態が伝わります。余裕がなく、不健康な印象を伝えると、どんなに優秀な方であっても、採用には至りませんので、要注意です。
自分が他人にどのような印象を与えているかということについて、客観的にアドバイスをもらうことは大切です。これは仕事のやり方にも通じるところがあります。人の目を気にしないという主義をもつ方は、柔軟性に欠ける、もしくは他人への配慮が足りない、さらにはリーダーシップや部下育成能力を疑われることにもつながります。
何を話しているかという内容以上に、どのように相手にあなたのメッセージを伝えるかというその手法は、相手に対して大きな影響力を持つため、転職活動を良い機会に、自分のメッセージの伝達能力を高めることに挑戦しましょう。謙虚さ、寛大さ、余裕、包容力、洞察力などは、当人の話の聞き方、話の伝え方から受ける印象によるところが大きいのです。
具体的には、立ち振る舞い方、目配りの仕方、表情の作り方、相手の話の聞き方、話をする際の声の出し方・姿勢・視線・身振り・手ぶり・声のトーン、質問の仕方等について、自分が気がつかないマイナスポイントがありますので、第三者からそれを事前に指摘してもらうことは、成功の確率を格段に高めます。
![]()
仕事は、人間が生きていくために、とても大切なものです。一方、転職の現場、つまり言い方を変えれば企業の採用の現場では、必ずしも個人のビジネスマンの方が正当な評価をされているともいえず、年齢や学歴、転職歴、過去の病歴などを理由に差別に近い扱いを受けているのが現状です。つまり、企業の情報力や資金力を前に、どんなに優秀な個人でも、圧倒的に不利な状態で転職、つまり仕事選びをしなければならないのが、ビジネスマンの現状です。
転職エージェントには、それぞれ専門分野があるため、すべての業種や職種において同レベルのサービスを提供するのは難しいですが、ビジネスマンの方がどうしたらもっと自分を客観視できるか、そして何をアピールするのが、その人の個性を一番生かせるのかなど、個別のケースに丁寧にアドバイスするための見識と経験を持っている必要がある仕事です。
ビジネスマン一人一人のその人らしさと正面から向き合い、人生の大切な選択をするためのお手伝いをする、とても難しくも、やりがいのある仕事です。転職エージェント自身が、どのように人生を生きているか、仕事に取り組んでいるかということが問われており、ビジネスマンとしての品格をもち、転職エージェントとしてプロフェッショナルとなるために日々、継続的に精進を続けていく必要があると思っています。
![]()
ビジネスマンにとって、優秀な人材コンサルタントと付き合うことは大きな価値がある。ちなみに優秀な人材コンサルタントとは次の要素を備えていると思う。
1)先入観や偏見がなく、親身に相談に乗ってくれる
2)得意分野をもっており、アドバイスも的確である
3)情報通で、良い人脈を持っている
A)一方的に情報を求めず、自分もできる範囲で相手に情報を提供する
B)裏表なく正直ベースでつきあい、できるだけ早く信頼関係を築く
C)打算的な短い付き合いよりも、損得勘定抜きに長期的に付き合う
人材コンサルタントの世界にも、メジャーリーグのスター選手クラスから草野球の補欠クラスまでの実力差がある。ビジネスマンにとって、優秀な人材コンサルタントを根気強く探すことが大切であろう。
![]()
今、中途採用の現場では、採用が壊れているのではないでしょうか。採用企業、転職するビジネスマン、そして人材紹介会社の3者が、互いの信頼関係を築けずにいるのです。
このため、人材紹介会社のとる戦略は、上の条件下で決まってきています。
もちろん、ここで残りの2者の視点も簡単に書き添えておきましょう。
「採用が壊れている」とまで書いたのは、上のような三者三様の思いの中で、それぞれに対する信頼関係が壊れていると思うからです。この結果、何が起きているかと言うと、
ポイントは、人材紹介会社が信頼に足るプロの仕事をやれていないという点もあるでしょうが、それもすべては成功報酬で仕事をしなければならない仕組みになっていることに起因している感もあります。また人材紹介会社の数が激増していること、そしてサービスのクオリティーがかなり玉石混淆であることも、問題です。
タダで人材紹介会社にプロの仕事をしろというのも無理な話でしょうし、採用コストを下げ、またスピーディーに空席ポジションを採用で埋めていかないと、企業の本業に大きく響くことでしょう。個人である転職するビジネスマンは、企業と人材紹介会社のハザマで、おそらく一番損をするのかもしれません。
私は、上の問題を根本的に解決する方法が必要であると思っています。まさにそれが企業の採用戦略になると思うのですが、今後も機会があるたびに、ベテラン人事部長さんと議論を深めていこうと思っています。「採用が壊れている」今こそ、採用には「新しい戦略」が必要なのです。
![]()