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小松 俊明小松 俊明

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転職市場を俯瞰する > ビジネスパーソンを納得させる就活生の志望理由

*今回のコラムは、現在就活中の全国の大学3年生に贈ります。(マイナビ千葉・茨城掲載より抜粋)

就活生とビジネスパーソン、まったく生きている世界が違います。就活生は就活が始まり、にわかにスーツを着るようになりますが、ビジネスパーソンはもう何年も、下手したら何十年も毎日のようにスーツを着て、丸の内や新橋のような、学生がほとんど近づかない街で人生を送ってきたのです。いわゆる世のおじさん・おばさんの世界と学生さんの世界は、親子の違いほどの世代の隔たりもあります。さらに「養うもの」と「養われるもの」の違いもあります。「学生のうちは学生らしく」でよかったのですが、就活生は「学生=養われるもの」から「社会人=養うもの」に脱皮する、まさにその変わり目にたっているため、そこには大きな意識変革が求められているのです。

 つまり就活生が内定を勝ち取るためには、「ビジネスパーソンを納得させる志望理由」が必要です。学生だから「学生らしい志望理由」でいいかというと、たいてい「何だ、それは?」と吐き捨てられてしまうような扱いを受けることになります。そこが内定を取れる就活生と取れない就活生の分かれ目なのです。
では「ビジネスパーソンを納得させる志望理由」のポイントは何でしょうか。あなたがサークルやクラブ活動で発揮したリーダーシップや、アルバイトやインターンで社会に触れた経験を話すだけでは不十分です。百人の就活生がいれば、皆、そこまではやるのです。

  ビジネスパーソンが確認したいことは、「学生のあなたがどのように意識を変えて社会人としての一歩を踏み出そうとしているか」、その着眼点なのです。つまり、テスト前の一夜漬けのような、ごまかしの勉強ではなくて、これからの何十年という社会人生活を前にして、あなたはどのように脱皮しようとしているのか、それを具体的に話す必要があります。(脱皮する必要があることにも気づいていない就活生は、まずは最初の足切りで落とされますが、本人たちはなぜ落とされたのかということすら気がついていません。)  

 実は企業のビジネスパーソン自身も何十年と仕事をしてきても、いまだに今後の自分の生き方を模索しています。先行き不透明な時代を迎え、ベテランのビジネスパーソンでさえ、自分の将来を決めかねているのです。まして就活生は今まさに社会人のスタートを切ろうとしているわけですから、自分の将来を真剣に考え、この変化の早い時代の中で、真剣に頭を使って自分の生き方を模索している必要があります。そのありのままの姿を先輩ビジネスパーソンにぶつければいいのです。「考える」あなたに対して、企業のビジネスパーソンは好感を持つことでしょう。20歳を過ぎた今、就職活動という真剣勝負の場をむかえているにも関わらず、自分の頭で考え抜いた言葉を発することがなく、誰かの作った模範解答を言うようでは、自分の人生を切り拓くことは難しいものです。

  企業の中核を担うビジネスパーソンは、就活生に多くを期待していません。サークルやクラブの役職、アルバイトやインターンなども正直、どうでもいいのです。あなたは本当に真剣に企業研究をしていますか。もう一度原点に帰り、志望理由を考えてみましょう。

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転職市場を俯瞰する > 不景気の就活、吉とでるか凶と出るか

*今回のコラムは、現在就活中の全国の大学3年生に贈ります。(マイナビ千葉・茨城掲載より抜粋)

景気が悪くなり、企業はかつてないほど新卒採用を絞り込んでいます。こんなとき就活するなんて、ホント運が悪い!そう思っている学生さんはさぞかし多いことでしょう。一方、3年前、皆さんの先輩たちの中には好景気のあおりで楽に内定を連発し、第一志望の企業に就職した人たちがいました。ただそれから3年が経ち、多くの先輩たちは今、せっかく入った人気企業を続々と退職しています。この不景気の時期というのに、なんで?と思う方も多いでしょう。ただしこれが好景気に就活した学生にありがちなパターンなのです。理由はのちほど説明しましょう。

ここで少し私の話をします。1990年代初頭に大学を卒業した私は、まさにバブル組と後々、言われ続ける世代です。私のころ、人気があった業界は都市銀行でした。私の友人たちは、当時、住友銀行、三菱銀行、さくら銀行、東京銀行、三和銀行、日本興業銀行、日本長期信用銀行など、都市銀行や長信銀に就職したのです。バブルは、まさに金融業を無敵な存在として祭り上げていた時代です。皮肉なことに2009年の今、上にあげた銀行のどれ一つとして、原形をとどめている会社はありません。ご存じのとおり、のちに銀行間の合併が進み、組織文化や給与制度、そして評価制度までが二転三転しました。社員はそうした波に巻き込まれ、どうすることもできませんでした。まして銀行はこの10年間に不祥事が続きました。そして昨年の金融ショックです。安定を求め、無敵な都市銀行に就職したはずの私の当時の仲間たちは、全くその逆の運命に巻き込まれ、不安定な会社生活を続けてきたことになります。好景気どころかバブルに沸く時代に就職活動しても、その後の人生は、まったくわからないものなのです。

皆さんは、まさに「不景気の就活」をする運命にありました。不安も少なくないことでしょう。ただこのことが、皆さんの人生において、吉と出るか凶と出るか。私は、「吉」とでる可能性が高いように思います。
皆さんの先輩たちが3年前、好景気に就活したにもかかわらず、今、不景気の中、続々会社を退職して転職活動をしているという話をしました。「なぜ若者は3年で辞めるのか」が大人のビジネスマンの間で大議論となったことをご存じの方も多いのではないでしょうか。また第二新卒という言葉も生まれ、若者の転職活動も社会的にクローズアップされ、エンゼルバンクなんていう漫画もはやりました。

「不景気の就活」だからといって、今後の長い人生がジリ貧なわけではありません。まして不幸が約束されているわけもありません。どんなに楽な就活をしても、いつか必ず、自分の進路に真剣に悩み軌道修正することがあるものです。今、皆さんは大変だけど、周りに流されず、安定志向で小さくまとまるのでもなく、自暴自棄にもなってはいけません。「不景気の就活」のおかげで、自分の生きる道を一生懸命考えるいい機会が生まれていますから、ここでへこたれず、自分の道を切り拓いていきましょう。

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転職市場を俯瞰する > 35歳転職限界説を問う

世の中には、不思議な定説があります。「転職の35歳限界説」もそのひとつでなないでしょうか。もともと誰がこのような情報を流したのか、そしてどのような経緯でこのような話が定説となってしまったのか、不思議に思うときがあります。

実際、定説とまでなっているのは、誰かが「継続的に」世間に対して35歳転職限界説を「啓蒙している」からではないかと思います。もちろんマスコミもそうですが、どちらかというと、もっと強い力が働いているように僕は思います。

それは何か。結論ですが、そうした啓蒙活動を大きなスケールで日々行っているのは、20代の転職を主に実現させている、日本の大手人材紹介会社で働く数多くの人材コンサルタントたちではないだろうかと、僕は考えています。

実際、日本の大手人材紹介会社は、毎日、ものすごい数の求人案件を取り扱い、求人企業と人材とのマッチングを行っています。大手であれば、数百人単位でコンサルタントが存在し、彼ら一人が毎日、10人単位の数のビジネスマンと面談をしています。彼らが実際に担当しているのは、主に若手向けの求人であり、特に20代向けが多くなっています。大手1社だけでも、毎日、延べで3000人もの転職希望者に「35歳転職限界説」を啓蒙しているといっても言い過ぎではないのかもとすら思うことがあります。「35歳になる前に転職しよう」、このメッセージは、結構インパクトがあります。

実際、新聞や、求人情報誌で目にする求人広告の多くは、若手の採用を優先したい企業の希望もあり、実際の採用の現場では30代が冷遇されることも多いのでしょう。まるで30代になると、「もう活躍の場がない」という烙印を押されたのがごとく、日本の人材紹介会社のコンサルタントは、結果として30代、それも30代半ばを過ぎた人材には見向きもしなくなるケースがあるようです。ただそれは、ある特定の世界だけの話であり、もちろん、30代、40代、そして50代にも、それぞれ中途採用の世界はあります。

そうはいっても年齢による、いわば差別に近い扱いが採用の現場にあることも確かであり、転職希望者の間には「35歳転職限界説」のような機運が持ち上がってもおかしくありません。もちろん、35歳が転職限界年齢なわけがなく、転職社会というのは、その個人の方の経験や実力によって、応募できる求人が変わるものです。企業にとって、若手人材とは感覚的に35歳までというのが定着しているのでしょうが、多くの企業は年齢だけで必ずしも優秀な人材の採用をギブアップするうことはないものです。

企業が新聞広告や求人情報誌などの媒体を使って採用をする際は、主に35歳以下を想定していることが多いですが、最近は、はっきりと「35歳まで」と明言する会社はなくなってきました。

一方、35歳以上の業務経験が豊富な人材に関しては、人材紹介会社を使って採用活動をするケースが一気に増えてきます。

世の中では「35歳転職限界説」が根強く、思いこみがゆえに転職の可能性をあきらめてしまう人もまだ少なくありません。今後、日本の転職社会が成熟していく過程で、世の中のこのような間違った定説も、だんだんと消えていくのでしょうか。

40代でも、50代でも転職する人はいっぱいいるという事実が、もっと世の中に知られていくようになれば、若者も「35歳転職限界説」に惑わされず、もっと慎重に転職をするようになるのかもしれません。年齢を気にして焦って転職してしまったがゆえに、転職に失敗したという若者がたくさんいます。押しの強い人材コンサルタントに惑わされることなく、若者はもっと慎重に転職をしてほしいものです。

日本に根強い35歳転職限界説は、これから日本が成熟した転職社会を目指す際に、大きな障害になるのではと思ったため、こんな話を書いてみました。

sp

転職市場を俯瞰する > 転職と年齢の問題

新聞を手に取り求人広告を見ると、「応募は35歳まで」と書いてある。芸能欄はどうか。「黒木瞳(49)」、ここにも名前の横に年齢が並ぶ。え~、あの美人女優がもうすぐ50歳! なんて、驚いていてもしょうがない。詐欺で捕まった犯人も、「○○容疑者○○歳」とわざわざ年齢つきで取り上げられる。もう右も左も年齢のオンパレードである。これって、日本特有の現象?!

本屋に目を向けてみよう。35歳までにやらなきゃならないこと? 40歳から伸びる人だって? 28歳のリアルって何だ?ここでも、また年齢、年齢、年齢。正直ワケがわからない!世の中に生まれたら、「35歳までには必ずこれをやれ」といわれても、なんだか余計なお世話だとは思わないだろうか。人には成長のスピードがあって、全員同じである必要もない。とすれば、これらの本のタイトルは何だ? 「最低限、これだけはやれよ」、というメッセージだとすると、これらの本のターゲットはその最低限にも届かない意識の持ち主ということになるわけで、本が売れることをもくろむ編集者がそうしたタイトルをつけるなんて、なんとも世間の読者をバカにしているような気もするがいかがなものだろうか。

ただ「35歳前後のあなた!」と名指しされると、自信が足りず、基本的に謙虚な性格の持ち主であれば、つい気になって本を買ってしまう。これはまさに、そこまで読者の心理を見抜いて本のタイトルを決めた編集者の一本勝ちなのだろう。どちらにしても、日本では本のタイトルに年齢が入った本は無数にあり、いかに日本人が年齢にとらわれているのかがよくわかる。(そういえば以前、若手の初めての転職に対するアドバイスをまとめた本を書いたことがあったが、その時に私の編集者がつけてくれたタイトルもずばり、「25歳からのいい転職悪い転職(大和出版)」。自分の著書の中にも、年齢がキーワードとなるものがあったとは!)

日々の生活でも、年齢が取りざたされることは多い。たとえば女性に年齢を聞くのは失礼だという。確かに年齢の話になると、明らかに不快そうな顔をする女性が多いような気もする。世の男性の多くは、女性の年齢嫌いを半ば冗談だと思っているため、平気で年齢を聞いたりするが、裏ではそれがセクハラだのパワハラだの言われているから注意が必要だ。ただ、なぜ男性に年齢を聞いたら失礼ではないのだろうかと疑問に思うこともある。(年齢よりも老けて見えるなんて言われたら、男も結構傷つくぞ!)

ところで米国では、履歴書に年齢を書く人はほとんどいない。飛び級や社会人学生があたり前である米国では、日本のように22歳前後で一律に大学を卒業するわけでもないため、大学の卒業年度から年齢を類推することもできない。つまり、就職や転職の際に年齢で足を切られることは「差別」であるという共通認識があるため、年齢を書かないことが標準化しているのである。

日本の転職の現場ではどうか。実際、女性の中には日本でも履歴書に生年月日を書かない人がいる。主に外資系で働いてきた女性、海外生活をしてきた女性にその傾向は多いが、明らかに米国の影響があるに違いない。しかし皮肉にも、日本ではそれが標準化されていないため、十中八九、求人企業から問い合わせがある。そしてこんなやり取りがあるのだ。「この女性、何歳かな」「たぶん、卒業年度からみて42、3歳と思います」「そうか、40歳を超えているのなら、今回はご縁がなかったことに」たった2歳、想定年齢よりも年をとっていたというだけで、優秀な人物が簡単に拒絶されることもあるのが、日本の現状だ。ここまでくると、年齢が気になるということを通り越して、確かに年齢による差別なのかもしれない。

では年齢とともに、目に見えて変化するものは何だろうか。そんなとき思い出すのが、街ゆく看板である。「あなたの肌年齢はいくつですか」こんなコピーにドキッとする人もいるに違いない。本当はもう50歳なのに「あなたの肌はまだ30代」といわれれば、飛び上がらんばかりである。ただここで注意。「そんなあなたのみずみずしい肌を維持するなら、この化粧品」というように、ちゃんと売り込みが仕組まれている。その逆はいうまでもない。

「あなたの今の肌は、がんで言えば早期発見の状態。これから一気に肌年齢が進行しないよう、特別なお手入れがお勧め、だからこの化粧品」。ここまで くれば「差別」ではなくて「脅迫」であるが、どちらにしても日本人は意外に「差別」や「脅迫」には寛容な国民である。女性は肌のハリを失うことを気にする が、男性は髪の毛を失うことが気になる。だから、そんな男性を脅迫する商品がないわけでもないが、どちらかといえば、男性のほうが年齢には無頓着なのかも しれない。(そういう自分は、髪の毛がなくなっていくことが結構気になる。)

考えてみれば20年前、自分が大学を卒業した時、同じ年だった あこがれの女性も、確実に20年分の年をとっていて、今も自分と同じ年のはずだ。あまりに当たり前の話だが、年齢というのは同時に経過した年数を示しても いるから、そこに何かを感じることはある。それが思い出だったり、歴史だったり、長い時間があればこそ成し遂げられるものが多いのも確かである。

日 本の文化には、年長者を敬う教えがあるが、これも年齢を意識しているというよりは、やはり時間の経過の中で蓄積された知恵や歴史を前にして、それを大切に したいという気持ちが働くからだろう。一方、屋久島にある樹齢7,000年を超すともいえる縄文杉の木の皮を、記念にはいで自宅に持って帰る日本人がいま だにいることは嘆かわしく、これも世の年長者に敬意を表しない国に日本がなりつつあることと同じ行為なのだろうか。

別に40歳でも42歳で もどちらでもいい。成熟した人、優秀な人、頑張れる人を企業は採用すべきだろうし、日本の社会も、電車の中で年長者に自然と席を譲れる文化をもう一度取り 戻せないだろうか。年齢を気にするのなら、中途半端にしないで、とことんこだわって気にしたらいい。年をとることが楽しく、誇り高い社会であれば、若者た ちも生きる希望をもっと持てるようになるに違いない。

(SOS総務連載より抜粋、加筆修正)

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